中小企業診断士試験の勉強方法 科目別対策⑥G.中小企業経営・中小企業政策

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1次試験 科目別対策(前回まで)

中小企業診断士の第1次試験、科目別対策をご紹介します。これまでに「A.経済学・経済政策」、「B.財務・会計」、「C.企業経営理論」、「D.運営管理」、「E.経営法務」、「F.経営情報システム」についてご紹介しました。

G.中小企業経営・中小企業政策

苦手科目だったため、試験1週間前までほぼ放置…

中小企業経営・中小企業政策についてですが、はっきり言って苦手でした。勉強のモチベーションが上がらず、最後まで身が入らなかった科目です。

私の本業は6月、7月あたりで忙しくなりやすく、試験直前期に集中して勉強できません。得意科目は忙しい中でも隙間時間に頑張れるのですが、苦手科目の放置ぶりはひどい有様でした。その中でも中小企業経営・中小企業政策の放置ぶりは7科目の中でもダントツでした(笑)

通信講座のスタディングの映像講義を一通りは見ていましたが、問題集は手つかずの状態で試験一週間前を迎えました。はっきり言って、この科目は不合格になって次年度に持ち越しても仕方ないと思っていました。(もともと、1次試験は合格したらラッキーくらいで受験を考えていて、科目合格でも良いという目標設定でした。)

しかし、他の科目はみっちり勉強していて、過去問演習をしても合格点は取れる状態になりました。そして、財務・会計や運営管理など、安定的に70点~80点を取れる科目が出てきたのです。ここで、欲が出ました。…中小企業経営・中小企業政策で40点以上取れれば、合計6割を超えて1次試験合格できる!ことに気づいてしまったのです。

得意科目で70点以上取れば、苦手科目のマイナスをカバーできる!

試験1週間前から始まった目標40点以上の勉強方法

無謀にも、40点以上取ることを目標として、1週間前から勉強を始めます。

しかし、企業経営理論、運営管理、財務・会計の3科目は2次試験にも出題されているし、時間をかけて勉強をしたのでこの3科目は落としたくない気持ちが強く、勉強時間もこの3科目に偏っていました。そのため、中小企業経営・中小企業政策は寝る前に1時間勉強することにしました。

選んだ教材はTACのスピード問題集。問題演習をして気づきましたが、この科目の問題は思考や計算を伴う問題ではなく完全な知識問題です。中小企業にまつわるデータや支援機構などの制度が出題内容であり、「暗記しているかどうか」だけが重要でした。

そのため、問題演習は時間をかける必要がありません。「覚えていなければいくら考えても点数は取れない」と割り切って、一問一答ドリルをやるようなイメージで高速で問題集を回しました。

1日1時間で1周回し、時間が取れるときは2周目も回しました。寝る前にベッドに横になって問題演習ができるのでそれほど気合を入れなくても勉強できます。とにかくスピード問題集を繰り返し回す。忘れていたらすぐに割り切って答えを見る。問題集を閉じて何回も頭の中で唱えて覚える。覚えたらすぐ次の問題に行く。

忘れてもOK。周回を繰り返すのですぐにまた戻ってくる。そう思ってスピード重視で取り組みました。名前通りスピード問題集です(笑)

中小企業経営・中小企業政策の問題は一問一答に近い!問題演習に時間がかからないから超高速で回せる!
忘れるのはOK!繰り返し演習をするので忘れては覚えるを繰り返せば良い。

スピード問題集を周回するまでにやった間違った勉強方法

中小企業診断士の勉強方法 科目別対策 中小企業経営・中小企業政策

スタディングの映像講義を一通り見終わった後、実はスピードテキストを使ってまとめノート作りを使用としていました。しかし、データ量が膨大であり、どこが論点になるかが全く分かりませんでした。そのため、データ表を丸々写すことになり、「まとめ」ノートにならなかったのですね。

どういうことでしょう。

表データのとある項目について、「1位はどれか?」と出題されていても、次に出題されるときは違う項目かもしれないし、「2位はどれか?」と出題されるかもしれない。そう考え始めると、通信講座のテキストや、TACのスピードテキストが表データを丸々掲載しているのに、抜粋してまとめノートを作るのは危険だと思ったのです。

「問題演習をして間違ったときなど、復習の必要があれば表の全てを確認したくなるはず。その時に抜粋版しかないまとめノートを自分が見るだろうか?……見ないな(笑)」と考え、まとめノート作りの意味のなさを悟りました。

この科目はまとめノートを作れない。理由はデータを「抜粋」できないし、しても意味がないから。

まとめノートを作れないことに気づいてしまった私は、次にテキストを何度も読み返すという勉強方法を試みます。

しかし…中小企業経営・中小企業政策のテキストはほとんどが「データ」、「法律」、「制度」です。情報量が多く丸暗記しようにも私には無理でした…。

次に、テキストの説明を何度も読み返して理解を深めようと思いました。しかし、読めば読むほど、この科目は「本質的に理解することが得点力アップにならない」と悟りました。テキストを読み返して、「ふむふむ、この制度はこういうときに使える制度なんだな。制定された背景は…」といったように理解する、思考することが得点につながらないのです。

理由は簡単で、この科目は「この補助金の上限はいくらか?」といった知識をピンポイントで問う問題が多いからです。結局、データや制度の内容を丸暗記する必要があったわけです。

理論を理解する、使用する、思考する、といった問題形式ではない!
知識事項をピンポイントで問う問題が多い!

丸暗記するしかない、でも丸暗記できない…だからスピード問題集だけを周回

情報量が膨大だし、表データは無機質で覚える気がしない。絶望ですね。

結果的にこの科目が苦手になってしまったのです。しかし、あと1週間。1科目とは言え落としたらもう1年。しかも他の科目が今年合格したら、来年は中小企業経営・中小企業政策の1つだけ受験…。でも2次試験で出題される企業経営理論、運営管理、財務・会計は勉強しなくてはならない…。……今年合格するしかない!

と腹をくくって40点以上取るための勉強をスタートしたわけです。

テキストの膨大なデータ量を丸暗記できないのであれば、「資格試験を長年教えてきた予備校の分析を全て信じよう!」と思い、スピード問題集だけを周回することにしたのです。1週間でスピード問題集を何周したか分かりません。10周くらいはしたのでしょうか。結果的に、スピード問題集の問題と答えは覚えることに成功しました。

予備校の出題傾向分析の力を信じましょう!

前日に始めた過去問演習

スピード問題集の問題と答えだけを覚えたこの状態で合格点を取ることは難しいです。ただし、40点以上を取ることは可能です。4択であれば期待値は25点。5択であれば期待値は20点。これに5、6問自信を持って答えられる問題があれば、40点は超えます。きっといける!と自分を鼓舞してました。

1日目の試験が終わって、晩御飯を食べてから過去問演習を始めました。使用したのはスタディングでした。スタディングで過去問演習をした理由は、この科目は一問一答のような問題が多いから机に向かう必要がないこと、スタディングであれば間違った問題のみを繰り返し解くことができること、間違った問題の周辺知識を復習しやすいことです。

過去問演習の結果、点数は48点でした。スピード問題集、ありがとう…!

そこからは少しでも確実に答えられる問題を増やすためにひたすらに過去問演習をしました。ほぼ徹夜をして試験時間までに出来る限りの過去問演習をして、間違った問題も完璧に覚えました。1年度分の演習と覚え直しの所要時間が2時間くらいでしょうか。3、4年分を一気に覚えたと思います。

本番は48点。何とか40点を超えました。運営管理と財務管理が70点を超えていたため、合計点で6割を超えて1次試験合格しました。

スピード問題集と過去問演習の有効性を強く感じました。テキスト丸暗記を早々に諦め、問題演習に切り替えて本当に良かったと思います。

テキスト丸暗記は難しい。問題演習中心の勉強でも50点前後は取れる!

暗記科目に問題演習が何故有効か

資格試験だけでなく、大学入試などもそうですが、試験問題というのはある程度「出題傾向」を守らなくてはなりません。1つめの理由は、「対策」ができなくなるからです。

毎年出題傾向が変わり、表データの1位を聞いたり、2位を聞いたり、3位を聞いたり……そんな出題をしていたら、結局全順位を覚えなくてはなりませんよね。それでは難易度が高くなりすぎます。また、「対策不可能」になれば受験する方も減るでしょう。予備校の授業を受けても受からないようでは、予備校業界も困ってしまいます。

試験問題を作成するときは、これまでの出題傾向を守り、過去問題で高得点を取れていた方がきちんと点数を取れるように作成します。新傾向問題を出題するときは、これまでの出題傾向をある程度守ったうえで、数問だけ出題するなどしてバランスを取るのです。

2つめの理由は、試験問題が「こういう力を持った人に合格を出したい」という作題者側の意思表示だからです。

試験問題は落とすために作るのではありません。求める人材の基準に達しているかどうかを測るために試験を作るのです。出題傾向が毎年ころころ変わるようでは、求める人材像や資格の価値を自らブレさせているということになります。

以上の理由より、一般的には出題傾向は突然変わりません!(意図的な試験改革があると別です。その場合は事前に話題になりますし、予備校には情報が入ります。)過去問演習や、過去問を研究している予備校の問題集を使った問題演習は非常に有効な勉強方法です。

出題傾向は突然変わらない。丸暗記が難しいときは問題演習をして、問題と答えを丸暗記してしまおう!
覚える量がぐっと減りながらも、ある程度点数を取る力はつく!

まとめ 計画的に勉強を!

上記の私の勉強スケジュールは絶対に真似してはいけません。とんでもないやつがいるな、と笑ってください。

ただ、時間に余裕があったとしても勉強の順序は変えなかったと思います。

1.通信講座などで映像講義を一通り視聴する
2.スピード問題集を毎日周回する
3.スピード問題集を全て暗記したら過去問演習をする
4.自分の苦手範囲の情報を整理し、覚え直しをする(制度の対象、条件、額などを整理する)
5.勉強に疲れた時に膨大な表データを眺め、少しずつ知識を補填する

4.と5.は私が実際にはできなかった勉強です。もっと時間があればこうしたと思います。

過去問演習をしたとき、毎回50点前後でした。足りない知識が明白になっていましたので、そこを整理して覚え直せば60点を超える感触はありました。こうした見通しが立てられたのも、早々に丸暗記を捨てて問題演習に走ったからだと思います。

いかがでしたでしょうか。参考になれば幸いです。勉強方法も人によって合う、合わないがありますので自分に合った勉強方法を見つけてください。「点数が取れるかどうか」を指標にすれば、間違わないはずです。がんばってください!

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