中小企業診断士の勉強方法 試験内容

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中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、経営コンサルタントの国家資格です。日本版MBA(経営学修士)と呼ばれることもあります。

経営コンサルタントとは、企業の経営者に売上向上など、課題解決のためのアドバイスをする人です。企業を助ける救世主のようなイメージです。

実際には、コンサルタントの仕事は多岐に渡ります。企業の救世主のような華やかなイメージとは異なり、会計やITに関する業務、企業の代わりに書類を作成する業務など、あまり目立たない仕事もあります。

コンサルタントには幅広い知識と、情報を短時間で理解・整理する力、自身の知識を活かして問題を解決する力が求められます。

中小企業診断士とは、経営コンサルタントにとって唯一の国家資格です。中小企業診断士を取得することで、コンサルタントにとって必要な知識を体系的に学ぶことができます

中小企業診断士は、経営に必要な知識を体系的に学ぶことが出来るという点ではMBAに近いですが、1次試験、2次試験(筆記試験+口述試験)に合格すれば取得することが出来るため、会社員が働きながらでも取得可能です。

中小企業診断士とは、経営コンサルタントの国家資格!
コンサルタントにとって必要な知識を体系的に学ぶことができる!

中小企業診断士を取得するメリットは何でしょうか。

中小企業診断士には独占業務がありません。しかし、中小企業診断協会を通じて人脈を広げる独立開業して公的機関の案件を獲得する、といったメリットがあります。実際に開業している方も多いです。

中小企業診断士とは、取得するために約1000時間の勉強時間が必要とされる難関国家資格です。

そのため、中小企業診断士を取得するだけで、優秀な人材であることを証明することができます。資格を取得することで会社内での評価が上がるため、開業をしない「企業内診断士」となってもメリットが多いようです。

また、転職活動をする場合、中小企業診断士を持っていることで優遇される場合もあります。

中小企業診断士になると、人脈が広がり、コンサルティング案件を獲得しやすくなる!開業する人も多い。
企業内診断士の場合も、会社内での評価が上がり、昇進や給与が上がるメリットがある。

中小企業診断士の試験制度

STEP
第1次試験

7科目
マークシート形式

STEP
第2次試験(筆記試験)

4科目
各設問15~200文字程度の記述式

STEP
第2次試験(口述試験)

筆記試験出題内容から4~5問
10分程度の面接

中小企業診断士 第1次試験 試験内容など

受験資格

年齢・性別・学歴の制限なし

試験日

1次試験:8月上旬(土曜・日曜の2日間)

試験科目

日程試験科目時間・配点
1日目午前A. 経済学・経済政策60分・100点
1日目午前B. 財務・会計60分・100点
1日目午後C. 企業経営理論90分・100点
1日目午後D. 運営管理90分・100点
2日目午前E. 経営法務60分・100点
2日目午前F. 経営情報システム60分・100点
2日目午後G. 中小企業経営・中小企業政策90分・100点

合格発表

9月上旬

合格基準

①総点数による合格基準
免除科目を除く全科目の総点数の60%以上かつ、40%未満の科目が1つもないこと。

②科目ごとによる合格基準
満点の60%以上。

合格の有効期間

全科目合格の有効期間:2年
科目合格の有効期間:3年

第1次試験を全科目合格した場合、合格した年度もしくは、その次年度に第2次試験を合格する必要があります。この期間に第2次試験に合格できなかった場合、第1次試験から受験しなおす必要があります。

第1次試験の科目合格をした場合、次年度と次々年度は該当科目を免除されます。残りの科目に合格して、全科目合格を目指します。この期間内に全科目合格できなかった場合、第1次試験の7科目を受験しなおす必要があります。

受験料

13,000円(2021年度)

中小企業診断士 第2次試験(筆記試験) 試験内容など

受験資格

第1次試験合格者
※第1次試験合格年度とその翌年度のみ受験可能

試験日

10月下旬

試験科目

日程試験科目時間・配点
午前【事例Ⅰ】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80分・100点
午前【事例Ⅱ】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80分・100点
午後【事例Ⅲ】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80分・100点
午後【事例Ⅳ】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例80分・100点

結果発表

12月上旬

合格基準

全科目の総点数の60%以上かつ40%未満の科目が1つもないこと

中小企業診断士 第2次試験(口述試験) 試験内容など

受験資格

第2次試験(筆記試験)合格者
※筆記試験合格当該年度のみ受験可能

試験日

12月中旬

試験方法・時間

個人面接・約10分

合格発表

12月下旬~1月上旬

合格基準

口述試験における評定が60%以上

中小企業診断士 1次試験 試験内容 解説

中小企業診断士の1次試験の試験内容について解説します。

中小企業診断士の試験内容は、1次試験と2次試験で大きく異なります。

中小企業診断士の1次試験の内容は、7科目(経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策)であり、マークシート形式です。

中小企業診断士の2次試験の内容は、事例Ⅰ(組織)、事例Ⅱ(マーケティング)、事例Ⅲ(運営管理)、事例Ⅳ(財務・会計)であり、記述式です。

このように試験内容が大きく異なるため、難易度、勉強方法も異なります。

中小企業診断士の1次試験の試験内容は実際に問題を見ると分かりますが、1つ1つの科目についてはそれほど難しくありません。

その理由は、試験内容が暗記で対応できる内容だからです。覚えるべきことをきちんと覚えていれば、合格点を取ることが出来るのです。

ただし、科目によって試験内容の性質も異なります。例えば、財務・会計の試験は公式を使った簡単な計算問題も出題されます。暗記だけでは点数が取れません。しかし、計算問題と言っても、公式をきちんと覚えており、中学数学のレベルの計算が出来れば問題ありません。

暗記すれば対応できる問題が主に出題される中小企業診断士の試験内容ですが、何故難易度が高い難関資格と言われるのでしょうか?

その理由は科目数が多いからです。勉強する範囲が広く、暗記するべき情報量も多いです。経済学や財務・会計、経営情報システム(IT)、経営法務など文系・理系を問わない試験内容の広さが難易度の高さの原因になっています。

文系・理系両方の科目が得意だった方、何にでも苦手意識なく知識を吸収できる方にとってはあまり苦戦しない試験内容ですが、苦手科目がある方にとってはかなり難易度の高い試験内容と言えます。

中小企業診断士の1次試験の試験内容は、暗記で対応できる問題が中心。
ただし、科目数が多いため、試験内容は幅広い知識が問われる。苦手科目がある人にとっては難易度が高い。

中小企業診断士 2次試験 試験内容 解説

中小企業診断士の2次試験の試験内容について解説します。

中小企業診断士の2次試験の試験内容は、与件文と言われる文章を読んで設問に記述式で答える問題が出題されます。

試験に出てくる与件文は様々な業界における架空の中小企業が題材となっており、具体的な経営状況が書かれています。短時間でこれを読み、理解した上で経営課題をSWOTで整理したり、1次試験の知識を活用して助言・提案したりします。

事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容は、類似しています。それぞれテーマは異なるのですが、設問の作り方が似ているのです。4科目中、最も独自性が高い試験内容であるのが事例Ⅳです。

中小企業診断士 2次試験 事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容 解説

中小企業診断士の2次試験、事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容は、設問の種類で大別すると、「情報整理」、「期待効果」、「助言」問題に分けられます。

情報整理問題は、設問に対して適切な内容を与件文から要約して記述します。文章読解と要約力があれば得点することができます。そのため、国語の試験と言われることもあります。

情報整理問題の内容は、文章読解、要約が出来れば難易度は低く感じるでしょう。逆に、文章読解、要約が苦手な場合は難易度が高く感じるでしょう。

期待効果問題は、与件文からの要約と、1次試験の知識の両方を活用して記述します。与件文の要約だけでは、要求される字数に足りない場合は1次試験の知識(一般論)から補填して記述します。

期待効果問題の内容は、情報整理問題と比べると、1次試験の知識を活用する必要があるため、難易度が高いです。1次試験の知識は全範囲というわけではなく、よく出題される箇所を絞ることができます。その部分の知識をきちんと覚え直しておけば、対応できます。

最後に、助言問題についてです。

2次試験の試験内容で、助言問題が最も難しいです。期待効果問題と同じく、与件文からの要約と、1次試験の知識の両方を活用して記述します。助言問題で要求される字数は多く、与件文の要約だけでは対応できない問題が多いです。

助言問題の内容において、「何を」「どこまで」記述するかの判断が難しいです。これが助言問題の難易度を高めています。要約だけでは字数が足りないため、一般論として課題に対して効果がある施策を助言します。しかし、作題者の意図から乖離して、言い過ぎてしまっても、言い足りなくても点数が取れません。

また、助言問題と言っても、自由に独創的なアイデアを記述すれば点数につながるわけではありません。あくまで、与件文を参考に、記載されている課題を解決できる一般的な考え方で記述する必要があります。

助言問題は、人によって回答がかなり分かれます。どれが正解であるのか、分かりにくい問題なのです。そのような試験内容のため、難易度は高く感じられます。

さらに、2次試験については、中小企業診断協会から模範解答が発表されませんどのような解答を書くべきだったかが試験後でも不明瞭のままなのです。予備校が発表する模範解答はありますが、それも予備校によってばらばらです。

予備校の模試の成績が良かったにも関わらず、試験本番で不合格になってしまったケースもあるくらいです。

これらの理由から、2次試験の試験内容は、難易度が高いと言われています。

中小企業診断士の2次試験、事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容は、「情報整理」、「期待効果」、「助言」問題に対する記述。
情報整理は文章読解、要約ができれば点数を取りやすい。
期待効果、助言問題は1次試験の知識も活用する。特に助言問題の難易度は高く、解答の幅も広い。

中小企業診断士 2次試験 事例Ⅳの試験内容 解説

中小企業診断士の2次試験、事例Ⅳの試験内容は、財務分析、CVP分析、設備投資評価(NPV)、キャッシュフロー計算などです。

与件文を読んで設問に記述式で答えるという点では、事例Ⅰ~事例Ⅲと同じです。しかし、与件文の情報は、財務分析などの計算に使用する数値情報が主ですので、事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容と性質が少し異なります。

事例Ⅳの試験内容は財務・会計の具体的な知識を問う問題や、計算問題が出題されます。そのため、1次試験の試験内容、財務・会計の知識を活用します。事例Ⅰ~事例Ⅲよりも、より知識があるかどうか、正確に計算できるかどうかが重要です。

事例Ⅳの試験内容は、難易度が高いです。1次試験の財務・会計で70点以上取れる方も、2次試験の事例Ⅳは合格点を取れない可能性があります。

その理由は、1次試験の財務・会計よりも与件文(与えられる条件)が複雑で、情報量が多いため、立式も複雑になるからです。うろ覚えの知識では太刀打ちできません。

事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容は類似しているため、コツを掴めれば3つとも点数が上がっていきます。活用する1次試験の知識分野が事例Ⅰ~事例Ⅲで異なりますが、勉強方法はほぼ同じです。

事例Ⅳについては試験内容が異なるため、事例Ⅰ~事例Ⅲとは別の対策が必要です。

しかし、事例Ⅳについては計算問題が中心になりますので、正しく立式して計算ができれば確実に点数が取れます。事例Ⅰ~事例Ⅲの試験内容は、上述した通り、模範解答が分からないということが難易度を高める要因になっていました。

事例Ⅳの場合は、各予備校の模範解答も基本的に同じ値が出ています。(解法がやや異なることや、条件解釈が異なるため最終的な値が異なる場合はあります。)

事例Ⅳについては、早い段階から問題集を解き始め、確実に高い点数を取れるように勉強することが重要です。試験内容は、難易度が高いのですが、対策ができるという点で事例Ⅰ~事例Ⅲよりも易しいと感じる方もいるようです。

中小企業診断士の2次試験、事例Ⅳの試験内容は、財務分析、CVP分析、設備投資評価(NPV)、キャッシュフロー計算など。
1次試験の財務・会計よりも試験内容の難易度は高い。条件が複雑で情報量が多いため、立式も複雑。
正しく計算できれば確実に点数を取れるため、事例Ⅰ~事例Ⅲよりも対策はしやすい。

中小企業診断士 試験内容 まとめ

中小企業診断士の1次試験、試験内容は7科目と多い。マークシート形式で、暗記中心の勉強で点数は取れる。
中小企業診断士の2次試験、試験内容は4科目で記述形式。
事例Ⅰ~事例Ⅲは文章読解、要約が出来ればある程度点数が取れる。助言問題の難易度は高い。
事例Ⅳは財務・会計のより深い知識が必要。対策をしっかりすれば得点源になる可能性あり。


勉強方法については、他の記事を参照してください。

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