中小企業診断士の勉強内容
中小企業診断士を取得するには、どのような勉強をすれば良いのでしょうか?まずは第1次試験の試験科目を確認しましょう。
1次試験科目
A.経済学・経済政策
B.財務・会計
C.企業経営理論
D.運営管理
E.経営法務
F.経営情報システム
G.中小企業経営・中小企業政策
なんと、7科目もあります。中小企業診断士の勉強内容は上記のように様々な分野に渡るため、難関資格とされています。一般的な会社員の方が通常業務に従事していても、業務から得られる知識は偏ってしまいます。全科目に精通している方は少ないでしょう。よって、ほとんどの方にとっては、未経験の分野、これまでに学習したことのないような分野の学習になります。
出題内容としては、暗記すれば正答できる問題が多いです。選択肢問題でマークシート形式ですので、しっかりと学習すれば合格点を取ることは可能でしょう。「B.財務・会計」については知識に加えて、ある程度の計算問題も出題されます。計算問題は、中学・高校で学習する数学の基礎的な問題(方程式や不等式を解くなど)ができれば大丈夫です。ただし、簿記の知識が必要ですので、簿記3級や簿記2級の勉強をしておくと良いかもしれません。
第2次試験の試験科目は以下の4つです。
【事例Ⅰ】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅱ】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅲ】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
【事例Ⅳ】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
こちらはすべて記述式です。架空の中小企業の事例を読み、情報整理や分析、助言などを回答します。文章を速く読み情報を要約・整理する能力や、論理展開力、記述力が必要です。もともと本を読むのが速い方、要約や説明が得意な方にとっては有利な試験でしょう。
第1次試験の知識を活用して答えることになります。特に、「B.財務・会計」「C.企業経営理論」「D.運営管理」の知識を使います。これらの科目が得意であれば、第2次試験はそれほど難しく感じないでしょう。合格点ぎりぎりだった方は、これらの科目の内、2次試験でよく出題されるテーマに絞って復習をしながら2次試験対策をすることになります。
中小企業診断士の勉強時間
約800~1000時間です。1年間での勉強で取得するとなると、1日2~3時間の勉強が必要です。
必要な勉強時間については、当たり前かもしれませんが人によって異なります。例えば、IT系の知識がすでにある人は、1次試験の科目「F.経営情報システム」はほとんど勉強しなくても合格点を取れるかもしれません。基本情報技術者試験の勉強をしたことがある方であれば、容易に高得点を取れるでしょう。
また、「A.経済学・経営政策」についても、あくまで一般論に過ぎず、そこまで専門性は高くありません。もともと経済学が好きでミクロ経済学・マクロ経済学を少し勉強したことがあれば、理解しやすい内容です。
ただし、これらの科目も初学者にとってはかなり辛いと思われます。どの分野についても興味・関心を持て、幅広く勉強することが出来ることが重要です。1次試験の7科目は、一つ一つはそれほど難しくありませんが、やはり勉強量が多いこと、分野が広いことがネックです。
管理人は中小企業診断士を取得していますが、個人的には2次試験でも使用する「B.財務・会計」「C.企業経営理論」「D.運営管理」の3科目が重要と感じます。また、学習する前から会計、経営学、マーケティングについては詳しいつもりでしたが、結果的に勉強時間がかかりました。他の科目と比べると深い知識が必要と思われます。
2次試験の勉強時間も気になるところだと思いますが、管理人は約100時間ほどで合格できました。多くの方が、1次試験に合格してから2次試験の勉強を始めるようです。上記3つの科目の知識が必要ですし、1次試験に合格する力がない内から2次試験の対策をするのは効率が悪いです。ただ、2次試験は記述問題であり、文章を速く読む速読力、読解力、情報整理能力、論理展開力、記述力が求められますので、これらが苦手であれば早い内から対策をしておいた方が良いでしょう。
中小企業診断士の勉強方法
どうやって勉強すれば中小企業診断士に合格することが出来るのでしょうか。
それぞれについて詳細を見てみましょう。
①予備校に通う
予備校の通常コースと料金を調べてみました。
TAC 1次2次セレクト本科生
Web通信講座 \210,000
教室講座 \210,000
KEC 1次・2次ストレート合格コース(初学者コース)
入学金16.500円+272,880円
LEC東京リーガルマインド 1次2次プレミアム1.5年合格コース
通学/通信/Web受講 286,000円
詳しいコースはそれぞれの予備校のHPで確認してください。こちらで紹介したのは、初学者向けの1次試験全科目+2次試験全科目のコースで、料金が一番安かったものです。LECのように1.5年かけて合格を目指すコースもありますね。さらにプレミアムコースとして、模試の受験が出来る権利などがついているものもあります。
大手予備校の魅力としては、参考書や講義のアップデートが毎年されていること、経験豊富な講師が多いこと、試験情報が素早く手に入ること、通学型が選べること、などが挙げられます。
独学やWebの通信講座で勉強するには自分自身を律して勉強時間を作り出す必要があります。自分で勉強時間を作ることが苦手な人にとっては、「通学」出来ることというのは大きなメリットになるでしょう。
②市販の参考書や問題集を使って独学する
中小企業診断士については、参考書や問題集が多く出版されているので、独学が可能です。一番よく買われているのがTACの参考書と問題集です。
1次試験7科目スピードテキスト+問題集セット 31,570円
1次試験過去問題集セット 11,550円
資格試験用の参考書や問題集は結構単価が高いです。安価な古本を買おう、と考える方もいるかもしれませんが、あまりおすすめしません。例えば、企業経営理論などは、新しい理論が問題に採用されるなど少しずつ出題傾向が変わります。数年前に初めて試験問題に登場した理論が、ここ数年は毎年出題されている、といった場合もあります。このように科目によっては最新の情報が重要になる科目もありますので、できれば最新版の参考書を揃える方が良いです。少し値は張りますが、後悔しないように最新版を買いましょう。
2次試験については、大手予備校から参考書や問題集があまり出版されていません。また、販売部数も多くなく、あまり店頭でも見かけません。購入する場合はamazonなどのネットショップが良いでしょう。管理人が使用して良かったものを挙げておきます。
ふぞろいな合格答案: 中小企業診断士2次試験 (エピソード14;2021年版) 2,640円
2021年版 2次試験合格者の頭の中にあった全知識 3,080円
事例Ⅳ(財務・会計)の全知識&全ノウハウ:中小企業診断士2次試験(2021年改訂版) 3,300円
「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策:中小企業診断士2次試験対策 880円
また、2次試験は過去問演習が主な勉強法になりますので、過去問題を手に入れる必要があります。問題集を買っても良いですが、インターネット上で問題と、回答用紙が無料で手に入るのでそちらを使っても良いでしょう。特に回答用紙は必ずプリントアウトして使用すべきです。2次試験は記述式で字数制限があります。実際の回答用紙には枠があり、字数オーバーしないように(枠に収まるように)記述をします。字数制限を守ることが意外と難しく、最終的には要約できるかどうかの勝負になってくるので、回答用紙は必須です。
③通信講座を受講する
予備校のような通学できる教室はありませんが、Web上の動画講義の配信をメインのサービスとしている会社がいくつかあります。これらは予備校と同様の授業を動画でいつでもどこでも受けられ、料金も安価であることが特徴です。管理人は通信講座と市販の参考書・問題集を併用して学習しました。個人的には一番おすすめです。
スタディング
中小企業診断士1次2次合格コース スタンダードコース 59,400円
アガルートアカデミー
総合カリキュラム(1次・2次試験対策) 76,780円
予備校よりも20万円ほど安いですね。かなりお得に受講できます。また、Web上で動画を視聴したり、選択式の問題集を解くことができます。これがかなり便利で、自分の勉強時間を自動で記録してくれますし、問題集では間違った問題を記録してくれます。間違った問題だけを抽出して復習したり、再度演習することもできます。中小企業診断士の勉強は範囲が広く、多分野に渡るため、自分の苦手箇所を把握して、一つずつ潰していくことが大事です。そのため、自動で学習管理してくれるツールが手に入るのはかなりメリットがあります。
自分に合った勉強方法を
いかがでしたか。資格取得の勉強には、自分の生活や性格に合った勉強方法を選ぶことが重要です。資格取得にあたって、一番苦労した点は「モチベーションの維持」と答える方が多いです。取得を志した時点では、やる気に満ち溢れていても、仕事が忙しく時間が取れなくなってくると「仕事が落ち着いてからにしよう」とか、「休日にまとめて勉強しよう」といった気持ちになってしまいます。徐々に勉強時間が減り、最後には「また来年受験しよう」と受験そのものを諦めてしまうのです。
資格を取得するには、いつまでに取得するか目標を決め、無理なく続けられる学習習慣を身に付けることが重要です。スマートフォンを触る時間が多い人にとっては、スマートフォンで映像講義を見られる通信講座があっているかもしれません。逆に、自宅で勉強できない人は、通学して予備校の教室で勉強するのが良いでしょう。学習習慣をつけ、それを当たり前のものとし、時間をかけて勉強する必要があります。
勉強にかかる費用がネックになる場合もあるでしょう。会社によっては資格取得にかかる費用を補助してくれる場合もあります。また、教育訓練給付金などを活用するのも良いでしょう。合格するとお祝い金がもらえる予備校もあります。コストパフォーマンスに優れた学習環境を構築しましょう。